INDIE INDEX

リリース

Steam にビルドを上げるとき、デポとブランチはどう分かれるのか

公開 2026-09-09更新 2026-09-09Steam(Steamworks Partner Program / Steam Direct

ビルドは SteamPipe で上げます。ファイルは約1MBのかたまりに分けられ、圧縮と暗号化のうえで配信網に上がり、更新のときは変わった部分のかたまりだけが利用者に配られます。

ビルドとデポとブランチ のページの中身
  1. アプリの下にある単位
  2. デポの分け方と重なりの順番
  3. SteamPipe がファイルを扱う仕組み
  4. ビルドを上げるための Steam アカウントと権限
  5. ブランチ(ベータ)の作り方
  6. このページの情報源

アプリの下にある単位

Steam では、1つの製品を「アプリ」という単位で扱います。アプリにはたいていストアページ・コミュニティハブ・利用者のライブラリの項目があり、App ID という固有の番号が付きます。1つの製品が複数のアプリにまたがることは、ふつうはありません。

新しいアプリを作れるのは、Steamworks のパートナーの中で管理者の権限を持つ利用者です。登録料を払うか、アプリの引換分を受け取ったあと、Steamworks の最初の画面の「Create new app...」から作ります。

アプリの種類は、App Admin の General Application Settings で選びます。ゲーム(VR を含みます)、ソフトウェア(音声と映像の制作、デザインとイラスト、写真編集など)、DLC、映像(Video・Series・Episode)、体験版(Demo)です。DLC と体験版は、元のアプリとは別の App ID を持ち、元のアプリに結び付けられます。

アプリの下には、ほかにいくつかの単位があります。

Steam のアプリを組み立てている単位

単位何を指すか
バンドル複数のパッケージをまとめ、割引で売るための組
パッケージアプリとデポの集まり。Steam で売る単位か、Steam キーの引き換えで与えられる単位
デポまとめて配られるファイルのかたまり
ビルドアップロードの結果できるもの。その時点のデポの姿を表す
ブランチ(ベータ)公開または非公開で選べるようにした特定のビルド
表1

デポの分け方と重なりの順番

デポには Depot ID という固有の番号が付きます。利用者がアプリを入れると、1つ以上のデポが手元の記憶装置に読み込まれます。

デポは App Admin の Depots のページで設定します。何も変えなければ、持っているすべてのデポが、一覧に並んでいる順で読み込まれます。あとから読み込まれたデポのファイルが、先に並んでいたデポの同じファイルを上書きします。つまり一覧のいちばん上のデポがいちばん弱い立場になります。順番は、項目をつかんで動かすと変えられます。デポの名前は自由で、読み込みの順番には関わりません。

Depots のページでは、4つの条件を設定できます。

  • 言語 — 設定すると、そのデポの中身は、その言語で Steam を動かしている利用者にだけ配られます。どの言語でも要るものは、初期値の「すべての言語」のままにします
  • OS — 設定すると、そのデポはその種類のOSでだけ読み込まれます
  • アーキテクチャ — 32ビットと64ビットでデポを分けているときだけ設定します。1つしか無い場合は初期値のままにします
  • DLC — 初期の状態では、DLC のデポと中身は元のゲームの App ID の下で管理されます。DLC のデポが多い場合は「Manage DLC depots separately」を有効にすると、DLC 自身の App ID の下で別に管理と登録ができます

複数のOSに対応するアプリでは、OS ごとの中身をそれぞれ別のデポに入れます。Windows 専用のファイルは Windows 用と印を付けたデポに、Linux 専用のファイルは Linux 用のデポに入れ、共通のファイルは両方またはすべてのOS用のデポに入れます。

内容を共有する2つのアプリがある場合、片方のアプリのデポをもう片方に含められます。Steamworks 設定の SteamPipe から Depots を開き、Add Shared Depot でデポを選びます。共有したデポは、元のアプリの言語・OS・アーキテクチャ・DLC の設定を引き継ぎます。共有できるのは、元のアプリが発売済みの場合だけです。

SteamPipe がファイルを扱う仕組み

ビルドの登録には SteamPipe を使います。SteamPipe は、それぞれのファイルをおよそ1MBのかたまりに分けます。かたまりはひとつずつ圧縮され、暗号化されてから Steam の配信の仕組みに上がります。利用者がダウンロードするまで、かたまりは圧縮と暗号化がかかったままで、利用者の手元で復号と展開が行われ、必要な場所に置かれます。

すでにあるゲームの更新を処理するときは、前のビルドと一致するかたまりを探します。こうすることで、ファイルのうち新しくなった部分や書き換わった部分だけが「新しいかたまり」になり、利用者はその部分だけをダウンロードして更新できます。

Steamworks は、SteamPipe の特徴として次を挙げています。公開と非公開のベータのブランチを持てること、Web の画面から新しいビルドの公開と前のビルドへの巻き戻しができること、公開する前に更新の大きさを見られること、複数のアプリで内容を共有できること、公開の内容やベータの内容から販売用のディスクを作れること、更新のダウンロードを始めたあとでも接続の無い状態で遊べること、内容が常に暗号化されていて有効でない版が利用者から見えないこと、そして開発中に使える SteamPipe のローカル配信サーバーがあることです。

ビルドの手順そのものは、Steamworks SDK の中のコマンド行のツールで進みます。SDK の tools フォルダーの ContentBuilder に、steamcmd と、ゲームの中身を置く content、記録と中間の出力を置く output、組み立ての手順を書いた台本を置く scripts が入っています。Windows では、これらの設定ファイルを画面から作れる SteamPipeGUI も同じ tools フォルダーに入っています。

組み立ての台本では、AppID と DepotID、内容の置き場所、出力の置き場所、そしてどのファイルをデポのどこに置くかを書きます。台本を steamcmd に渡すと、ファイルの一覧が作られ、それぞれがかたまりに分けられ、新しいかたまりが圧縮・暗号化されて上がり、デポごとに固有の番号を持つマニフェスト(デポに含まれるファイルの一覧と、大きさ・SHA1ハッシュ・印などの情報)が作られます。すべてのデポの処理が終わると、そのビルドに全体の BuildID が割り当てられます。

ビルドを上げるための Steam アカウントと権限

ビルドを作る前に、Steamworks のアカウントの中に「Edit App Metadata」と「Publish App Changes To Steam」の権限を持つ Steam アカウントが要ります。Steamworks は、安全のため、この2つの権限だけを持つ専用のアカウントを用意することを勧めています。権限を与えられるのは、Steamworks のアカウントの管理者です。

発売済みのアプリで既定のブランチにビルドを出す場合、そのアカウントには電話番号か Steam のモバイルアプリのどちらかが結び付いている必要があります。どちらかを使って、その操作を確かめる形です。またそのアカウントで電子メールや電話番号などの安全に関わる設定を変えた場合は、発売済みのアプリのビルドを出せるようになるまで3日待ちます。乗っ取られたアカウントが発売済みのビルドを触れないようにするための決まりです。

ブランチ(ベータ)の作り方

ブランチは App Admin の Builds のページで管理します。「Create new app branch」から作り、空白を含まない分かる名前を付けます。この名前と説明が、利用者がベータの一覧から選ぶときに見えるものになります。パスワードを設定した場合、利用者はパスワードを入れるまでその名前を含めて何も見られません。

利用者の側では、ライブラリでゲームを右クリックして「プロパティ」を開き、左側の Game Versions & Betas のタブから選びます。選んだ時点で、Steam クライアントはそのブランチの内容を取得しはじめ、いま入っているものを置き換えます。既定以外のブランチを選んでいるあいだは、遊ぶボタンの隣にそれを示す表示が出ます。

既定(Default)のブランチは、利用者に配られる版です。発売前は、テストする人が初期の状態で取得する版でもあります。発売後は、既定のブランチの内容がそのまま利用者に届きます。

内容を上げただけでは、既定のブランチに公開されません。App Admin で自分で公開します。すでに発売しているゲームでビルドを公開すると、そのゲームを持っている人全員がその更新を受け取ります。

ブランチの内容を人に見せたくない場合は、ビルドをそのブランチに公開する前にパスワードを設定します。パスワードは、ビルドの Update から入れます。

ゲームの側から Steam に頼んで、利用者を特定のベータのブランチに切り替えることもできます。ISteamApps の GetCurrentBetaName・GetNumBetas・GetBetaInfo・SetActiveBeta がその仕組みです。

上げたビルドを審査に出す手順はSteam の審査は何を見て、発売までに何営業日かかるのかに、発売後の更新の出し方はSteam で発売したあと、更新はどうやって利用者に届けるのかにまとめています。

このページの情報源

Steam 完全ガイドを順番に読む21本のうち8本目

このページに出た言葉